2023年8月
犬や猫の外耳炎は、外耳道の周辺に炎症が起こっている状態です。
放置していると痒みや痛みによるQOL(生活の質)の低下や耳道の閉塞を引き起こします。
外耳炎は通年通して起こりますが特に湿度の高い季節はなりやすく、また長い耳や垂れ耳の犬、長毛種の猫などもなりやすいため注意が必要です。
本記事では、犬や猫の外耳炎の原因や症状、診断・治療方法について詳しく解説します。
外耳炎をはじめとした耳のトラブルを引き起こす原因はいくつかあります。
一例として、以下のようなものがあげられます。
外耳炎の原因としては、アトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある場合や、皮膚のバリア機能(体外からの異物の侵入防ぐ機能)が何らかの要因により破壊されることで、皮膚の常在菌が増殖したり、あるいはほかの病原体が感染する二次感染の場合などが考えられます。
外耳炎の症状では、以下のようなものがあげられます。
軽度な場合には、痒みがあるだけのこともありますが、進行し重度になると出血したり、耳道が閉塞したりする可能性があります。
外耳炎の症状がみられた際には、できるだけ早く動物病院を受診するとよいでしょう。
外耳炎の診断方法は以下の通りです。
上記のような診断方法を組み合わせて診断を進めていきます。
耳道が閉塞しており外耳道の内部までしっかりと確認できない場合には、レントゲン検査やCT検査などの画像診断を行うことが必要になることもあります。
より耳道の奥側を観察するために、細いカメラを挿入するビデオオトスコープなどの検査が行われる場合もあります。
犬や猫の外耳炎の治療方法は、以下の通りです。
耳の中の汚れを落とすためには、耳洗浄が必要です。
耳洗浄を行うことで、耳道内の汚れや細菌を落とせます。
当院ではその子の耳の状態・耳垢の質や量等にあわせて、適切な洗浄液を選択しており、その後点耳薬などの外用薬を併用する場合もあります。
細菌や真菌などに感染している場合はその種類に合わせて、抗生剤や抗真菌薬を選択していきますが、症状に合わせて、抗生剤や炎症止めなどの内服薬も併用して痒みと炎症を抑える治療も有効です。
また、当院では近赤外線の抗炎症効果を利用した外耳炎治療を行っています。近赤外線治療は外耳炎の治療だけでなく、その他の皮膚疾患や筋骨格系疾患など幅広い疾患の治療にも使用できます。
何か大切なご家族のことでお困りの際はお気軽に当院までご相談ください。
ご家庭でケアする場合は、まずこまめに耳の様子を観察し、悪臭はないか、赤くなっていないか、耳垢は出ていないかなどをチェックしましょう。
そしてできる範囲で耳を清潔に保つことが大切です。ご家庭で耳掃除を行う場合は、表面を軽くコットンなどで拭く程度にとどめましょう。綿棒を耳道内まで入れてしまうと傷つき、炎症を起こして悪化してしまう場合があります。
また、病院で外耳炎を予防するには、病院での定期的な耳洗浄を行い、耳道を清潔に保つことが有効です。
しっかりと耳洗浄を行うことを希望されたり、ご自宅でのケアを愛犬や愛猫が嫌がったりするようであれば動物病院で獣医師に洗浄してもらうのがおすすめです。
本記事では、犬や猫の外耳炎の原因と症状、診断・治療方法について解説してきました。
外耳炎は放置すると痒みや炎症が酷くなってしまう場合があり、最悪の場合は耳道が閉塞してしまうこともあります。
ご家庭での耳のケアや病院での定期的な耳洗浄を行うことで耳道内を清潔に保つようにしましょう。
もし愛犬や愛猫に少しでも外耳炎を疑うような様子が見られたら当院までご相談ください。
【参考文献】
獣医内科学 第2版 p570
神奈川県相模原市を中心に大切なご家族の診療を行う
かやま動物病院