2024年09月
愛犬に手作りのご飯を食べさせたいと考える飼い主様は多いでしょう。
手作りドッグフードは、素材や製造工程が見えるため安心感がありますが、栄養バランスを保つのが難しく、気軽に始めるにはハードルが高いものです。
手作りドッグフードを始める際は、まずしっかりと知識を身につけ、獣医師に相談した上で与えることをおすすめします。
今回は、犬の手作りドッグフードについて解説します。
各病院、獣医師により手作り食は賛否両論ですが、当院は手作りごはんは、愛犬の健康維持の為の有効な方法の一つだと考えております。
手作りドッグフードは、愛犬への愛情を示す素晴らしい方法ですが、作るのも保存するのも手間がかかり、栄養バランスを保つのが非常に難しい面があります。そこで、市販のドッグフード、特に総合栄養食のメリットについても考えてみましょう。
市販の総合栄養食は、必要な栄養素がしっかりと計算されており、栄養バランスが偏る心配がありません。また、犬は年齢や健康状態によって必要な栄養が異なり、長期的な食事内容が健康に与える影響は大きいです。市販のフードなら、その点もしっかりと考慮されています。
一方、手作りドッグフードを作る際には、人間には安全でも犬には危険な食材があるため、注意が必要です。例えば、タマネギやチョコレートなどは犬にとって有害です。
そのため、手作りドッグフードに興味がある、これから始めたいとお考えの方は、まずしっかりと知識を身につけることが重要です。
始める前に、必ず獣医師や動物栄養学の専門家に相談することをおすすめします。
手作りドッグフードの最大のメリットは、飼い主様が自分で材料を選べることです。
新鮮な食材を購入して、その日のうちに調理して食べさせることができますし、季節に合わせて旬の素材を使い、愛犬と一緒に楽しむこともできるでしょう。
また、アレルギーや特定の食材に対する制限がある場合でも、市販のドッグフードの原材料表記を確認する手間が省けます。
アレルギー対応も簡単で、問題となる食材を入れないだけで済みます。
正しい知識をもとに行えば、愛犬の健康状態や年齢に合わせて、オーダーメイドのフードを手作りすることができます。
「愛犬にはいつも元気でいてほしい」という思いを持つ飼い主様は多いことでしょう。手作りごはんを取り入れることで、食事を通じて日々の体調管理が可能です。特に、食欲が落ちているときや体調に変化が見られるときには、日々のごはんでその状態に合わせた調節ができるのが魅力です。
見落とされがちな栄養素に「水」があります。ドッグフードは水分含有量によりドライフード、ウェットフード、セミモイストフードに分類されますが、水分量の少ないドライフードでは水分不足になってしまうことがあります。
一方、手作りドッグフードでは調理法によって食事からしっかりと水分を取らせることができます。
犬には食べられない食材や調味料もありますが、それらを除けば、基本的に飼い主様も一緒に食べられるのが魅力です。愛犬用に取り分けた後、人間用にお好みの調味料を加えることで、同じ食事を楽しむことができます。
手作りごはんに変えて、愛犬が美味しそうに食べる姿を見ながら、自分たちも同じ食事を楽しむ…これもまた、幸せなひとときではないでしょうか。
手作りドッグフードの最大のデメリットは、栄養バランスを維持するのが非常に難しいことです。
最近では市販の手作りドッグフードも増えていますが、完全な手作りで栄養バランスを保つのはやはり難しく、市販のものにはビタミンなどの栄養が添加されていることがほとんどです。
年齢や健康状態、アレルギーなどに配慮して手作りドッグフードを作るのは、専門的な知識があっても難しいことが多いです。
手作りドッグフードは、材料選びや栄養設計、調理など、市販のフードに比べてどうしても手間と時間がかかります。
また、長期保存が難しく、冷凍保存するにしても1週間以内に食べ切ることが推奨されているため、冷凍庫に十分なスペースも必要です。
一般的に、市販のフードと比べて手作りドッグフードはコストが高くなることがあります。特に、市販の手作りドッグフードも高価なものが多いため、経済的な負担が増える可能性があります。
手作りドッグフードは嗜好性が高いため、これに慣れてしまうと市販のドッグフードを食べなくなる子もいます。
平常時であればそれでも問題ないかもしれませんが、災害時や旅行の際には注意が必要です。
手作りドッグフードを継続して与えるには、栄養バランスをしっかり確保する必要があります。
そのため、始める前や与えている間は、必ず獣医師や動物栄養学の専門家に相談してください。
犬に必要な栄養素は、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルの5つです。
市販のドッグフードは、アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)が規定に則って、栄養素がバランス良く配合されています。
手作りドッグフードでも、これらの栄養素をバランス良く含むように注意しましょう。
人間にとって安全な食材でも、犬にとっては危険なものがあります。
例えば、タマネギなどのネギ類、アボカド、キシリトール、ぶどう、チョコレートなど、人間には健康に良いと言われている食材も、犬には毒となります。これらは絶対に与えないようにしてください。一緒に煮たスープも同様に危険です。
調理方法にも十分な注意が必要です。まず、喉に詰まらないように、食材の大きさを調節しましょう。また、愛犬の好みに合わせて切り方を工夫することで、より楽しく食事をしてもらえるでしょう。
また、揚げ物は脂質が多く、膵炎などの病気を引き起こすリスクがあります(炒める程度なら問題ありません)。
基本的には、食材にしっかり火を通し、小さく刻むなど、消化しやすい調理法をおすすめします。
また、同じ肉や野菜ばかりを使わず、食材が偏らないよういろいろな食材をバランス良く取り入れるように心がけましょう。食材が偏ると、栄養も偏りがちになります。さまざまな食材をバランスよく与えることで、愛犬が必要な栄養素をしっかりと摂取できるよう心がけましょう。
インターネット検索などを活用すると、与えてはいけない食材について多くの情報が見つかります。一方で、検索に引っかからない食材は安全であることが多いです。これらの情報を上手に活用することで、食材のバリエーションを広げ、愛犬にとってより豊かな食事を提供することができます。
さらに、愛犬の健康状態に応じて、食材や調理法を変更する必要がある場合もあります。元気なときは、お肉を少し大きめに切ると、噛み応えがあって、より満足感を感じてもらえるでしょう。
しかし、高齢になって歯が弱くなっている場合や、胃腸の調子が悪いときは、細かく刻んだり、柔らかく煮込んであげたりするのがおすすめです。
こうした工夫で、愛犬が無理なく美味しく食べられるようにしましょう。
手作りドッグフードには保存料や酸化防止剤などの安定して保存できる成分が含まれていないため、徹底した衛生管理が必要です。
保存は冷凍がおすすめですが、冷凍保存であっても1週間程度で食べ切れる量にしましょう。
無理のない範囲で、ほどよく続けることが大切です。毎日完璧を目指すのではなく、1週間から1年間のスパンで栄養バランスを考えましょう。
「最近、少し食べ過ぎているかな?」と思ったときは、毎日のごはんで少しずつ調節していくことで、無理なく続けることができます。
市販のドッグフードから完全な手作りドッグフードに切り替える際は、最初は市販のドッグフードに少し手作りドッグフードをトッピングする程度から始めましょう。
健康状態や食いつきを確認しながら、徐々に手作りドッグフードの割合を増やし、最終的に全てを手作りドッグフードにするとスムーズに切り替えられます。
手作りドッグフードでは栄養バランスを維持するのが難しいため、ビタミンやミネラル、脂質などはサプリメントで補うと良いでしょう。
サプリメントを上手に活用することで、愛犬に必要な栄養素をバランス良く与えることができます。
手作りドッグフードは手間がかかり、ハードルが高いですが、愛犬に手作りの食事を与えたいと考える飼い主様も多いでしょう。
しかし、栄養バランスを維持するのが難しいのも事実です。手作りドッグフードに興味がある、または始めたいとお考えの飼い主様は、ぜひお気軽に獣医師にご相談ください。
正しい知識を持って、愛犬の健康をしっかりサポートしましょう。
神奈川県相模原市を中心に大切なご家族の診療を行う
かやま動物病院