犬のレプトスピラ症に注意｜神奈川県内でも感染報告あり！予防接種と感染経路を解説

レプトスピラ症とは、「レプトスピラ菌」と呼ばれる細菌に感染することで起こる病気です。
犬だけでなく人にも感染する可能性があるため、人獣共通感染症（ズーノーシス）としても知られています。

このレプトスピラ菌は、河川や池のまわり、水たまりなど湿った場所に生息しています。
感染した動物（主に野生動物やネズミなど）の尿に菌が含まれており、それが混ざった水や泥を犬が口にしたり、皮膚から体内に入ったりすることで感染が成立します。

日本では、特に沖縄などの温暖な地域で多く見られる病気ですが、最近では神奈川県内でも年に数件の発生が報告されており、注意が必要です。

レプトスピラ症に感染した犬では、初期症状として以下のような体調の変化が見られることがあります。

レプトスピラ症が疑われる場合、以下のようないくつかの検査を組み合わせて診断を行います。

レプトスピラ症は重症化すると、治療の初期段階で命を落とす危険性も高いので、早期発見・早期治療がとても大切になります。
特に急性腎障害が悪化し、尿がほとんど出なくなる（無尿）状態にまで進行してしまうと、治療をしても回復が難しく、予後が厳しくなることがあります。

治療には、抗生物質（抗菌薬）を使用して原因となる菌を退治します。
さらに、肝臓や腎臓に負担がかかっている場合は、点滴（輸液）などで身体の機能をサポートしながら治療を進めていきます。

治療中は、獣医師の指示に従ってしっかりとお薬を与えることが何よりも大切です。
途中でお薬をやめてしまうと、症状がぶり返すだけでなく、菌が完全に排除できない可能性もあります。

治療を開始しても、しばらくの間は尿の中にレプトスピラ菌が排出されることがあるため、家庭内でも以下のような注意が必要です。

レプトスピラ症は、日常のちょっとした工夫で感染リスクを減らすことができる病気です。
ご家庭でできる主な予防策として、以下のようなポイントが挙げられます。

加えて、予防接種（混合ワクチン）の接種も有効な手段のひとつです。
特に、キャンプや川遊びなど自然の多い場所へ行く機会がある場合は、レプトスピラ症に対応した7種、8種、あるいは10種の混合ワクチンを選ぶことをおすすめします。

ただし、ワクチンの種類は愛犬の体調や生活環境によって最適なものが異なるため、「どのワクチンがいいのかわからない」と迷われる際には、まずはかかりつけの動物病院にご相談ください。

当院でも、レプトスピラ症を含む各種混合ワクチンを取り扱っており、接種時期や種類についてのご相談も随時承っております。
また、ワクチンの詳細については別記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

レプトスピラ症は、犬だけでなくヒトにも感染する人獣共通感染症です。人が感染した場合、最も多く見られるのは、インフルエンザのような風邪に似た症状です。たとえば、発熱・頭痛・筋肉痛などが現れることが多く、これらは「感冒様（かんぼうよう）症状」と呼ばれます。

ただし、重症になると、黄疸（皮膚や白目が黄色くなる）、出血傾向、腎不全などの深刻な症状が現れることもあります。場合によっては、入院や集中治療が必要になるケースもあるため注意が必要です。

レプトスピラ症は、身近な場所でも感染する可能性のある病気ですが、正しい知識と予防を心がけることで、しっかりと対策することができます。

当院では、混合ワクチンの接種をはじめ、レプトスピラ症に関するご相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
これからも、大切なご家族である愛犬・愛猫と一緒に、安心して過ごせる毎日を支えるために、予防というかたちでサポートしていきましょう。

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＜参考文献＞
神奈川県衛生研究所（2023）「レプトスピラ症」https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/003_center/0004_topics/230418_leptospira.pdf（2025年5月2日閲覧）