2023年11月
尿路結石(症)は犬や猫によくみられる泌尿器系の病気で、尿石症や尿結石とも呼ばれます。
尿路とは、尿が作られる「腎臓」、腎臓から膀胱まで尿が運ばれる通り道の「尿管」、尿を溜めておく「膀胱」、そして膀胱から尿が出るまでの通り道「尿道」の4つの器官からなります。尿路結石とは、この尿路のどこかに結石が作られる、もしくは結石が詰まってしまう病気のことです。特に飲水量や排尿量が変化する、夏や冬の季節(気温)の変わり目の時期に起こりやすいと言われています。
今回の記事では尿路結石の原因から予防法まで詳しく解説していきます。
結石が作られる原因にはいくつかありますが、フードやおやつから摂取するミネラル分のアンバランス、飲水量の不足、排尿を我慢してしまう環境、遺伝的素因、尿路系の感染、代謝異常、尿pHなどが関与しています。
結石とは、食餌や水に含まれている、マグネシウムやカルシウム、尿酸などのミネラル分と、尿の中のたんぱく質などが結合してできるものです。
ストラバイト結石は一般に尿pHが高くなる(アルカリ性になる)ことによって発生することが多いです。犬では尿pHを高くするウレアーゼ産生細菌によって発生することが多いのに対して、猫はほとんどが無菌性で、そこに食餌性要因や特発性膀胱炎等が加わると、ストラバイトがより発生しやすくなります。
特にマグネシウムやリンが多く含まれるフードを摂取していると、尿中の排泄が増加し、尿中濃度が高くなるのも原因です。
また、飲水量が少なくなることも原因の1つです。尿が濃縮されたり、尿量が減るため排尿回数も低下し、膀胱内に尿が停留する時間が長くなり、結晶や結石が成長する時間を与えてしまいます。
そして、シュウ酸カルシウム結石は一般的に尿中へのカルシウムやシュウ酸の排泄が増えることで発生しますが、そのメカニズムはとても複雑です。ストラバイト結石同様、尿が濃くなることや飲水量が少ないことも結石形成の引き金になります。
また高齢猫の場合は腎機能が低下しやすく、尿細管でのカルシウム再吸収の低下が起こり、尿中へのカルシウム排泄濃度が高くなる事も一因と考えられています。一般的にはシュウ酸カルシウムは老齢に多いとされていますが、若齢でも遭遇する機会が増えています。
犬においては、シー・ズー、ミニチュア・シュナウザー、ビション・フリーゼ、トイ・プードル、チワワはシュウ酸カルシウムの好発犬種と言われています。
石のサイズや存在する場所により症状は異なります。結石の大きさはさまざまで、犬猫の大きさにもよりますが、砂粒から卵大まであります。
膀胱や尿道でできた結石では、排尿困難、頻尿、血尿などの症状がみられます。トイレに行って排尿姿勢をとるのに、排尿量がごく少量~出ていないといった症状で来院されることが多いです。さらに、結石が尿道を完全に塞いだ状態で時間が経過してしまうと尿毒症や腎機能低下等の腎後性急性腎障害を起こし、元気・食欲の低下、嘔吐、痙攣、徐脈や不整脈、昏睡などを示すことがあり、とても危険な状態になります。
また、腎臓でできた結石では、結石が小さいうちは無症状のことが多く、大きくなると腎機能に影響を及ぼすことがあります。さらに、腎臓の結石が尿管内に転がり落ち尿管を完全に詰まらせてしまうと、腎機能の低下を起こすことがあり命に関わることもあるため、早期発見、早期治療が大切です。
尿検査やレントゲン検査(結石の種類により確認可能)、エコー検査、血液検査などから尿路結石の有無、種類、サイズ、存在する部位、膀胱や腎臓の状態、全身状態の確認を行います。
尿検査で使用する病は、可能なら採尿直後~30分以内がベストです、持参するのに時間がかかる場合は、アルミホイル等で遮光したり冷蔵保存すると成分が変化しにくくなります。
結石の種類や症状により治療法は異なります。
ストルバイト結石が原因の場合は、療法食での溶解が期待できます。尿のpHを低下させること、マグネシウムやリンを制限した食餌に切り換えることで結石の溶解が進みます。犬のストルバイト結石は尿路系感染に起因することが多いため抗菌薬を使用し、また尿酸塩やシスチンでは溶解薬を併用することがあります。
シュウ酸カルシウムが原因の場合は、療法食で溶解することが難しいため、結石の場所によっては手術での摘出を検討します。しかし外科的に手術しても約50%の症例が再発すると報告されています。従ってシュウ酸カルシウム結石に対する食餌療法は再発予防が第一目的になります。
さらに、結石の種類に関係なく、尿管が閉塞して命に関わる状態では緊急手術が必要になることもあります。
尿道に結石が詰まった場合には、カテーテル等で詰まりを解除する治療を試みますが、腎機能に影響が及ぶ場合には、尿道カテーテルの留置や点滴が必要になることもあります。解除できない場合は緊急手術が必要になることもあります。
また、小さな腎臓の結石に関しては、経過観察とすることがほとんどです。
尿路結石を予防し、再発を防ぐには下記の4つのポイントが挙げられます。
大切なご家族の健康を守るためにも取り組んでみてください。
尿石症になりやすい猫を「活動量が少なく、あまり水を飲まない猫」と表現することがあります。それは、運動せず、あまり水を飲まないと尿量も減り、排尿回数も低下し、濃縮された尿が長時間膀胱の中に貯留されることになるためです。
肥満も活動量の低下や飲水機会低下の一因となります。
犬や猫では尿路結石症の他にも泌尿器の病気がとても多いため、日頃からおしっこの状態を観察し、変化がみられた場合には早めの受診を心がけましょう。
水を飲まない犬が水を飲まない原因や対策についてはこちらの記事でも解説しています。
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