2025年1月
犬や猫の目が赤くなったり、目やにが増えたり、目を痛そうにしている場合、何らかのトラブルが起きているかもしれません。
言葉を話せない犬や猫は、自分の不調を直接伝えることができません。そのため、飼い主様が気づいたときには症状が進行していることもあります。
目の健康を守ることは、愛犬や愛猫が元気で快適な毎日を送るためにとても大切です。
今回は、犬や猫に見られる目の病気の症状と、早期発見のために押さえておきたいポイントをご紹介します。
犬や猫は人間と比べると視覚よりも嗅覚や聴覚が優れていますが、愛犬や愛猫が飼い主様とアイコンタクトを取ったり、周囲の状況を把握したりする際には視覚が重要な役割を果たしています。
視覚が損なわれてしまうと、犬や猫の日常生活に大きな支障をきたします。さらに、一度失われた視覚を取り戻すことは難しい場合が多いです。そのため、目の健康を守るためには早期発見と適切な治療が欠かせません。
目の病気には、飼い主様でも気づきやすい症状がありますが、些細な変化に気づくには日ごろから目のケアをしながら観察してあげることが必要です。
犬や猫の目に異常がある場合、外見や行動に以下のようなサインが現れることがあります。これらのサインを早めに発見することで、目の病気を重症化させる前に対処することが可能です。
結膜炎や感染症の可能性があります。また、目の乾燥やアレルギー反応でも赤みが出ることがあります。角膜に傷がつくなどして目に痛みがある場合も、充血が起こることがあります。
白内障や角膜の傷、炎症、沈着物などが考えられます。このような変化は視力低下につながる場合があります。
目やにが黄色や緑色で大量に出る場合、感染症の疑いがあります。また、涙の量が増える場合は、逆さまつげや鼻涙管の詰まりが原因かもしれません。アレルギー反応によって、さらさらとした涙が増えることもあります。
片方の目だけが腫れている場合、目の炎症や腫瘍が原因の可能性があります。
また、瞳孔の大きさに左右差がある場合は、神経系の疾患が疑われることがあります。
かゆみや痛みを感じているサインです。アレルギー反応や、異物が目に入っている可能性があります。
目の痛みや違和感があるかもしれません。角膜の傷や炎症が原因のこともあります。
視力が低下している可能性があります。また痛みにより首をかしげたり、傾けたりすることがあります。
目に痛みがあると、かじる動作が痛みに響くことがあり、その影響で食欲が落ちたり、活動性に変化が見られたりする場合があります。
目の病気は、以下のように原因や症状が多岐にわたります。
感染(細菌やウイルス)や物理的な刺激(ほこり、逆さまつげなど)、アレルギー等によって、結膜に炎症が起こる病気です。
症状:白目の充血、涙や目やにの増加
外傷(爪や異物による傷)や感染が原因で、角膜に傷ができる状態です。放置すると視力低下につながる場合があります。
症状:痛みによって目を擦る、片目を閉じる、涙や目やにの増加
水晶体(目のレンズ部分)が加齢や病気で白く濁り、光を適切に通さなくなる病気です。遺伝的な要因て若いころから発症することもあります。また、糖尿病が原因で続発する場合もあります。
症状:黒目部分が白く濁る、視力の低下
眼圧が上がることで、視神経や網膜が圧迫されて視覚障害が起こる病気です。
症状:突然の目の痛み、目の充血、急激な視力低下、視覚の消失、左右で目の大きさが異なる(突然大きくなる)
涙の分泌が不十分になることで、角膜や結膜が乾燥し、炎症を引き起こします。短頭種や目が大きな犬種で特に多く見られます。
症状:長期間続く目の充血、目やにの増加、眼の光沢がなくなる
愛犬や愛猫の目を健康に保つためには、普段からのケアと予防がとても大切です。
目やにや涙が出ているときは、水で湿らせたコットンやガーゼで優しく拭き取ってあげましょう。このとき、目の周り専用の清浄綿を使うのもおすすめです。ただし、アルコールが含まれたものは刺激が強いので避けてください。
普段から少量の白っぽい目やにや茶色っぽい目やにがつくことはありますが、黄色や緑色の目やにが続く場合は注意が必要です。
これは細菌感染の可能性があるため、早めに動物病院に相談しましょう。
トリミングが必要な犬種の場合、目に毛がかからないように目の周りの毛を短く整えることが大切です。
シャンプー時にも注意が必要で、泡が目に入らないように目元をしっかりカバーしてあげましょう。
また、多頭飼いの場合は、遊んでいるときやケンカの際に目を傷つけないよう、爪をこまめに切るなどの対策をしておくと安心です。
目に以下のような異常が見られた場合、緊急治療が必要なケースがあります。
これらの症状は、放置すると視力の喪失や目の健康に重大な影響を及ぼす可能性があるため、すぐに動物病院へご相談ください。
目の異常が見られた場合、動物病院では以下のようなさまざまな検査を行い、原因を特定して適切な治療が進められます。
目の異常に気づいた際には、いつから症状が出ているのか、どのような変化があったのかを記録しておくと診断に役立ちます。
細い光を目に当てて、角膜や虹彩、水晶体などの目の表面および内部を詳細に観察します。目の構造的な異常や炎症の確認に用いられます。
網膜や視神経の状態を確認するため、特殊なレンズやカメラを使用します。緑内障や網膜剥離、視神経炎などの診断に役立ちます。
目の内部に病変がある場合、超音波でその構造を確認します。眼内腫瘍や水晶体の異常の診断に使用されます。
目の表面に染色液をたらし、角膜に傷や潰瘍がないかを調べます。傷がある場合、染色された部分が浮き上がって確認できます。
涙量を測定し、ドライアイ(乾性角結膜炎)や涙腺機能の異常を調べます。
眼圧計を用いて目の内部の圧力を測定します。緑内障の診断に欠かせない検査です。
検査結果に基づき、以下のような治療が行われます。
感染症や炎症がある場合に処方されます。抗生物質や抗炎症薬が含まれることが多く、定期的な点眼が必要です。
感染や炎症が重篤な場合、体内からの治療として注射や点滴、内服薬の投与が行われることがあります。
白内障や緑内障の進行を遅らせる目的で、目の健康をサポートする栄養素が含まれたサプリメントが用いられることがあります。
角膜の傷を保護するための治療用コンタクトレンズが使用されることもあります。
眼内腫瘍や重度の白内障、緑内障など、外科的な処置が必要な場合に行われます。
目の病気には、強い痛みや視力を失う可能性があるものも含まれます。一度失われた視力を取り戻すことは難しいため、早期発見と早期治療が何より重要です。
目のケアをスキンシップの一環として習慣化し、異常が見られた場合は、些細なことでも動物病院で相談するように心がけましょう。
■関連する記事はこちらで解説しています
神奈川県相模原市を中心に大切なご家族の診療を行う
かやま動物病院