2023年9月
愛犬には1日でも健康に長生きしてもらいたいと思うのが飼い主さんの願いだと思います。そのためには、シニア期の過ごし方が重要です。
今回の記事では、シニア期にみられる変化やサインをご紹介します。このような変化に気づいた時に、飼い主様が犬の健康のためにしてあげられることなども併せてお伝えしますのでぜひ参考にしてみてください。
犬の寿命は何歳くらいなのでしょう?2022年度の「一般社団法人ペットフード協会」による「全国犬猫飼育実態調査」では、犬の平均寿命は14.76歳です。
寿命は犬の体格によっても異なり、小型犬より大型犬の方がやや寿命が短い傾向がありますが、14歳~15歳程度が一般的な犬の寿命だと言えるでしょう。
シニア期は寿命の半分くらいの年齢からが該当するため、7~8歳くらいからをシニア犬と呼びます。
シニア期に入ると、犬の見た目に変化がみられます。毛のツヤがなくなったり、白い毛が目立ったりするようになります。体全体が痩せて見えることもあれば、反対にお腹などのたるみが気になることもあります。
また、体の変化に伴い行動にも変化がみられます。例えば、筋肉が衰えるため若い時のように活発に運動しなくなったり、消化機能が衰え食べる量が減ったりすることもあります。
このようなサインは年齢を重ねるごとに顕著になり、一般的には寿命が近づくにつれ、だんだんと活動時間が減り、寝ている時間が増えることが多いです。
一般的に動物は症状があってもそれををギリギリまで我慢することが多く、また自分で症状を訴えることができないので、飼い主様が体調不良に気づいた時は既に進行していることもあります。
そのため定期的に健康診断を受けて、今の体調を把握してあげることが大切です。
下記のような症状が当てはまる場合は、シニア期の病気のサインかもしれません。
上記の症状が当てはまる、気になることがある場合は動物病院へご相談ください。
シニア期に入ると、特有の病気にかかることも多いです。
血液検査会社の統計によると、血液検査の結果、シニアと言われる7歳以上の83.5%以上に何らかの項目で異常値が認められています。
また7歳以上のペットにおいて、健康診断で何らかの病気などが見つかった経験が犬で44%、猫で47%と半数近くにのぼっているという報告もあります。
少し走っただけでも息切れをしたり、咳をしたりすることが増えている場合は、心臓病の可能性があり、多飲多尿や痩せてくるなどの症状がみられている場合は腎臓病の可能性があります。
また、階段などの段差を嫌がるような様子が見られる場合は関節や脊椎などの病気の可能性があります。
その他、歯周病や癌、ホルモンの病気、認知症、老齢性白内障などもシニア犬にみられる代表的な病気です。
シニア犬との暮らしでは、運動・食事・環境の3点が大切です。
高齢犬は肥満になりやすいため、負担にならない程度の運動が重要です。散歩は日々の運動不足解消のためにも、犬のストレス解消のためにも欠かせない習慣だと言えるでしょう。
また、年齢や症状に合った良質なフード選びも重要です。サプリメントを使用することで食餌では摂りにくい成分を補うことも有効です。サプリメントは現在の健康状態を維持するために使用する物なので、早期から与え始める事をお勧めします。迷ったら動物病院で相談してみるとよいでしょう。
さらに、室温を一定に保ったり、家の段差をなくしたりなどの細やかな配慮もシニア犬のためには重要なポイントです。
犬の長生きのためには、シニア期の細やかな配慮が大切です。運動・食事・環境というポイントを押さえた適切なケアが鍵となります。
シニア期に入ると特有の病気にかかることも増えるため、定期的な健康診断も欠かせません。動物病院と上手に連携し、健康管理を心がけましょう。
また、ここに記載している内容だけが決して正解では無く、飼い主の皆様が考えたケアの中に当院での内容が少しでも加わり、よりよいケアとなって動物達へ届けば幸いです。シニア期の動物の幸せは、大好きな飼い主様が今までと変わらず最期まで笑顔で、そして元気で接してくれる事こそが最大の幸せだと感じてくれるのではないかと当院は考えます。当院がその一助となれれば幸いです。
神奈川県相模原市を中心に大切なご家族の診療を行う
かやま動物病院