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犬や猫の発作で慌てないために|症状・原因・対処方法を獣医師が解説

2025年11月

ペットの口腔トラブル

ある日突然、犬や猫が泡を吹いたり、痙攣(けいれん)して倒れたりしたら――
その場にいた飼い主様は、どうしたら良いかわからずパニックになってしまうのではないでしょうか?

犬や猫の発作は珍しいものではありませんが、放置することは危険です。まずは落ち着いて状況を見極め、正しい対処をすることが大切になります。

この記事では、犬や猫に見られる発作の症状や考えられる原因、発作時の対応の仕方、そして動物病院を受診すべきタイミングについて、獣医師の視点からわかりやすく解説していきます。
いざという時に慌てないためにも、発作について正しく理解し、備えておきましょう。

発作とは?犬や猫に起こる発作の基本

「発作」と聞くと、激しく震えたり倒れたりする姿を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、症状の出方は様々です。
痙攣を伴うこともあれば、意識を失って動けなくなったり、突然失禁してしまったり、手足だけが小刻みに震えるケースもあります。

発作は、脳の異常によるてんかん発作や、心臓の不整脈に伴う失神など、原因によって症状や経過が大きく異なるのが特徴です。

さらに厄介なのは、見た目が似ている行動や様子が多いことです。
たとえば「単に足を滑らせただけの転倒」や「恐怖や痛みで震えている様子」と、「発作による倒れ込み」「意識を失ったように動かなくなる姿」とが区別しづらいことがあります。

こうした違いに早く気づいてあげられるかどうかが、治療のタイミングやその後の経過に大きく影響します。

飼い主様が気づきやすい発作の症状

実際によく見られる「発作のサイン」や「症状」を確認しましょう。

<発作の兆候は?>

発作が始まる前には、いくつかのサインが見られることがあります。

  • 呼びかけても反応せずぼんやりしている
  • よだれが垂れている
  • 目の焦点が合わない
  • 手足を挙げるなど、動きがおかしい

他にも落ち着きなく歩き回ったり、飼い主様にしきりに寄ってきたりするなど、普段と違う行動が「前触れ」として表れることもあります。

<発作の症状>

兆候が見られるケースもありますが、前触れなしにいきなり発作が起こることも少なくありません。

  • 体がピンと硬直する、またはガタガタと震える
  • よだれが大量に出る、口のまわりに泡がつく
  • 一時的に意識を失う、呼びかけても反応がない
  • 後ろ足が立たず、崩れるように座り込む
  • 目の焦点が合わず、うつろな表情になる

実際によく見られるのはてんかん発作で、発作と聞いて多くの飼い主様が思い浮かべる代表的なタイプといえます。
ただし、必ずしも「発作=てんかん」ではありません。心臓の不整脈による失神や、低血糖などの代謝異常、中毒などでも、似たような症状が起こることがあります。

これらの症状は数十秒から数分で収まることが多く、その後は何事もなかったかのように元気に見える場合もあります。
またこのような発作は、外出中や夜間に起こると気づかれにくく、発見が遅れてしまうことがあります。

「痙攣したけれどすぐ戻ったから大丈夫」と自己判断せず、一度は動物病院でご相談いただくことをおすすめします。

発作の種類と原因の違い

「発作」とひとことで言っても、原因によっていくつかのタイプに分かれます。

てんかん発作

脳の神経細胞が異常に興奮することで起こる発作です。
若齢期から見られる「特発性てんかん」と、脳腫瘍や炎症性疾患などが原因となる「構造的てんかん(以前の症候性てんかん)に大きく分けられます。

心臓性の発作

特に高齢の犬や猫に多く、不整脈や心筋症などの心臓病が原因で起こります。
突然意識を失って倒れる「失神発作」として見られることが多いのが特徴です。

その他

特に小型犬の子犬に多い低血糖による発作や、タマネギ・チョコレート・キシリトールなどの誤食による中毒性の発作もあります。
このほか、代謝異常や体内のバランスの乱れが引き金になることもあります。

発作の種類によって、治療法も予後も大きく異なるため、可能な限り早い段階で獣医師の診察を受けることが肝心です。

発作時の安全な対処法

愛犬・愛猫が発作を起こした時、まず大切なのは「慌てないこと」です。
無理に抱きかかえたり、大声で呼びかけたりすると、かえって動物を興奮させてしまうことがあります。
発作中は反射的に噛んでしまうこともあるため、口の中に指を入れたり物を噛ませたりするのも危険です。

まずは周囲の家具などをどけて、安全なスペースを確保しましょう。
頭をぶつけそうな場所にはクッションなどを置き、ペットが落ち着くまで静かに見守るようにしてください。

また、発作の継続時間や症状の様子を動画で記録しておくと良いでしょう。
特に表情や眼の様子などはその後の診断に役立つ判断材料となりますので、録画のポイントとなります。
初めての発作であれば、できる限り詳細に記録に残しておくよう心がけてください。

「発作が起きたら慌てず記録、動物病院へ」の図解:犬が泡を吹いて倒れている→ノートで時間を記録/猫の痙攣がとまらない→スマートフォンで録画

動物病院を受診すべきタイミング

発作が初めて起こった場合は、たとえ短時間でも動物病院を早めに受診しましょう。

特に以下のような場合は、緊急対応が必要です。

  • 発作が5分以上続いている
  • 発作が1日に複数回繰り返される
  • 発作後に意識が戻らない、呼吸が不安定
  • 持病(心臓病や脳炎など)がある

一方で、緊急性が高くない場合でも「1回きりだから大丈夫」と自己判断せず、できるだけ早めに診察を受けて原因を確認いただくことをオススメします。

長く続く発作は危険?

「5分間以上の継続した全身痙攣性発作、あるいは複数回の痙攣発作が断続的に発生して、その間に意識の回復が認められない状態」を発作重積といいます。
痙攣発作が5分以上継続するのは「異常に長い」痙攣です。

痙攣開始後30分以内に治療を開始した場合の反応率は80%、2時間以上経過してから治療を開始した場合の反応率は40%以下という報告もあります。
つまり、発作が長引くと治療が難しくなるので、できるだけ早く動物病院を受診することがとても大切です。

長く続く痙攣発作の場合、緊急性が非常に高いのですぐお近くの動物病院・救急病院へ連絡してください。

かやま動物病院では、かけがえのない命を守るため、時間外でも対応できる場合がございます。また、相模原・町田・八王子・横浜エリアなど近隣の救急病院をご紹介することも可能です。

まとめ|落ち着いて正しく対応することが命を守るカギ

犬や猫にとって、発作は時に命に関わる重大なサインになることも……。
突然の発作に驚いてしまうのは自然なことですが、だからこそ飼い主様が冷静に行動し、迷わずに動物病院へつなげてください。

当院では、発作に関するご相談から緊急時の対応まで、状況に応じたサポートをおこなっています。
「何かいつもと違う」と感じたら、自己判断せずに、どうぞお気軽に当院へご相談ください。地域のかかりつけ医として、獣医師やスタッフに安心してお任せください。

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